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北鉄バスのフリーバス

 「フリーバス」とは自由乗降バスのことで、指定された区間では停留所以外の場所でも自由に乗り降り可能としているサービスです。

 とくに利用者が限られるローカル路線に多く設定されており、ご自宅の前などで乗り降りするお年寄りの姿は、土地に根ざしたローカルバスのなんともいえない魅力をかもし出してくれます。

 黎明期の路線バスは、バス停でなくとも手を挙げればどこでも停まってくれたといいます。フリーバスは、そんな時代のバスの良さを取り入れた、高齢者にやさしいサービスのひとつといえます。

最終修正:2022.09.06 (17R)


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▽フリーバスの基礎知識

フリーバス区間内の停留所に掲示されている案内書きを紹介します。

(フリーバスの始点) ⇔ (フリーバスの終点) 間では、
停留所以外の所でもご希望の所で自由に乗り降りできます。

 但し、ご希望の場所でも危険な所や法令で禁止されている所では
 乗降場所を変更させていただきます。

 禁止場所…交差点、横断歩道付近、見とおしの悪いカーブ、急な坂道、トンネル、その他危険な箇所

[乗車]お乗りになる時は、道路の左側でバスに向って
   手をあげてお待ち下さい。

[降車]お降りになる時は、早めに降車場所を乗務員にお申し出下さい。

[運賃]途中で「乗り」「降り」されたときの運賃は、お乗りのときは
   手前の停留所からの、お降りのときは前方の停留所までの
   運賃をいただきますのでご了承願います。


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▽フリーバス区間拡充の歴史

 北陸鉄道では、ローカル路線利用者の低迷が甚だしくなっていた1980年代、その活性化策のひとつとしてフリーバスを導入しています。

 河合谷線、余地線、九谷線、東谷・四十九院線、皆月線、西保線の6路線を手始めに、加賀地区、能登地区、さらには金沢地区ローカルにまで拡充されていきました。

◆昭和56年(1981年)10月1日
河合谷線(能瀬〜河合谷、池ヶ原)
余地線(七窪〜余地)
九谷線(山中中学校前〜杉の水)
東谷・四十九院線(四十九院〜今立)
皆月線(浦上〜皆月)
西保線(袖ケ浜〜上大沢)

◆昭和57年(1982年)4月1日
白峰線(瀬戸野〜白峰車庫)
中宮線(瀬戸野〜中宮温泉)
鳥越線(別宮〜阿手)
奥卯辰山健民公園線(水族館前〜奥卯辰山健民公園)
国府線(和気〜奥鍋谷)
大杉線(瀬領〜大杉上町)
新宮線(志雄役場前〜所司原・国民宿舎前)
羽氷南線(志雄役場前〜清水原)
鵜野屋線(東小室〜切留)
豊川線(河崎〜草木)
空熊線(二俣〜空熊)
三井線(小淵橋〜上与呂見)
柳田線(柳田〜兜地)
三崎線(正院〜大屋)

◆昭和57年(1982年)10月20日
相川線(蕪城小学校前〜徳光)
三反田線(林中〜山の庄)
笠間線(宮丸〜平加)
鶴来線(安養寺〜春の木)
橋立線(法ケ坊〜宮・黒崎〜潮津)
大聖寺線(大聖寺高校前〜片山津本町・石川病院前〜ゴルフ場)
動橋線(西島〜片山津本町)
片山津線(野立町〜富塚・加賀高校前〜片山津本町)
佐美線(村松〜石川病院前)
温泉片山津線(ときわ台〜片山津本町)
水上線(花園口〜水上)
百海線(百海〜大野木)
万行線(万行浜通り〜佐野)
小山線(池田〜山是清)
久川線(剣地〜久川)
穴水線(本市口〜此の木)
唐川線(此の木〜唐川)
内浦線(能登川尻〜東岩車)
市の坂線(小泉〜洲衛)
外浦線(中浜〜関野)
邑知潟線(文化会館前〜菱分)
大谷B線(大谷〜木の浦)
飯田線(町野〜宇都山)

◆昭和59年(1984年)11月1日
内川線(別所〜小原)
才川線(下辰巳〜駒帰)
津幡線(森本大橋〜横浜)
板尾線(中島〜板尾)
川北線(安吉〜辰口ハイタウン)
山代B線(南部中学校前〜粟津温泉駅)
富来線(三明〜巌門〜生神)
医王山線(医王口〜医王山見上山荘)
才田線(森本支所前〜才田)
高松線(本宇の気〜松浜)
吉崎線(錦城ヶ丘〜塩屋)
美川線(濁池〜木呂場)
辰口線(古府〜安吉)
能美線(寺井車庫・秋常〜倉重)
新道鶴来線(寺井車庫〜倉重・辰口ハイタウン)
加茂線(高浜小学校前〜梨谷)
後山線(高浜小学校前〜徳丸)
志加浦線(はまなす団地前〜赤住)
七富線(浜田〜東小室)
満仁線(白馬〜吉田・七原口・三階北口)
崎山線(太田八幡〜上湯川・鹿渡島)
鶴来線の延長(春の木〜本鶴来)
鳥越線の延長(中島〜別宮)
白峰線の延長(中島〜瀬戸野)
片山津線の延長(串〜野立町)
大杉線の延長(本江〜瀬領)
国府線の延長(古府〜和気)
三反田線の延長(山の庄〜本鶴来)
中宮線の延長(白山下〜瀬戸野)
四十九院線の延長(山中駅〜四十九院)
東谷線の延長(四十九院〜丸山町)
佐美線の延長(串〜村松)
 (情報ご提供:ぽんさん)

◆昭和60年(1985年)11月
国府線のフリー区間延長ほか4路線

◆昭和61年(1986年)10月27日
和倉線(和倉温泉〜温泉口)

◆昭和61年(1986年)11月
打木線(示野〜打木)
運転免許センター線(湊運動公園前〜運転免許センター)
横江線(八日市出町〜宮永)
医王山線の延長(下田上〜)

◆昭和62年(1987年)4月29日
河原山線(開業と同時に設定)

◆昭和62年(1987年)11月
河合谷線のフリー区間延長ほか22路線。

◆昭和63年(1988年)1月24日
能登島線(開業と同時に設定)。

◆昭和63年(1988年)4月1日
板尾線のフリー区間延長(千丈温泉延伸による)。

◆昭和63年(1988年)8月3日
佐野線(寺井役場前〜クアハウス九谷)。

◆昭和63年(1988年)12月1日
中宮線のフリー区間延長(〜白山中宮)

◆平成2年(1990年)1月
大聖寺線。

◆平成2年(1990年)4月
川北線のフリー区間延長。

◆平成3年(1991年)1月20日
温泉片山津線、温泉山中線。


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▽フリーバス表示板について

 フリーバス導入当初は、該当区間を走るバスの前面に写真のような表示板を取り付け、アピールしていました。

 

 金沢地区では運用の多様化により早くに絶滅してしまいましたが、能登地区では近年まで、まだ少数が残っていました。しかし現在は車両の代替も進み、ほとんど見ることができないものと思われます。

 
 ▲リアガラスに掲出された「追突注意」の表示板。

▽フリーバス集約停留所

 七尾地区のフリーバス区間内には、停留所ではない場所に、謎の「バス停」が設置されている箇所をよく見かけます。丸板の停留所名は「フリーバス集約停留所」「集約停留所」「フリー区間乗降場所」「集約所」「フリー集約場」など、何種類かありますが、いずれも同義です。

 これは読んで字の如く、フリー乗降を集約するための、いわば「バス停の姿をかりた目印」ということであるようです。比較的利用者の多い七尾地区では、定時性を確保するためにこのような形を採用したのではないかと思われます。

 とくに目立つのは和倉線で、各ホテルの玄関先に設置され、時刻表も用意されており、いっぱしの停留所といった様相です。

 なお、このような集約乗降所は県外の事業者にも例があり、なかには固有の名称を付け、ほとんど一般の停留所と区別の付かないものもあるようです。

 フリー集約停留所については、和倉線の小ネタの項でも解説しています。

  
  ▲停留所名が入っている例も

 このように七尾地区に集中している「フリーバス集約停留所」ですが、かつて奥能登地区を走っていた西保線にも集約停留所が存在していました。待合室が備わっており、西保線をスクールバス代わりに利用していた西保小学校の児童のために用意されていたものなのかも知れません。

 
 ▲小池〜下山間にあった集約停留所
  丸板のないポールが立っていました

 
 ▲待合室の壁に貼ってあった時刻欄

 時刻欄は、かつての北鉄で標準的に使われていた手書き用のものでした。平成26年(2014年)11月に再訪すると、この時刻欄はすでに撤去されていました。

 
 ▲下山〜下山口間にも集約停留所がありました

 こちらは集約停留所の丸板がありました。のちに正規停留所だった「下山口」がこの位置へ移設され、2代目「下山口」停留所として昇華されました。


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▽フリーバスの小ネタ

 フリー区間内では、停留所以外の場所で乗降があるため、ワンマン機器の挙動が通常とは異なります。

 ・ 放送が手動となる

 フリー区間に入ったときには業務放送が流れます。内容は「テープスイッチを手動に切り替えてください。」または「業務放送、次よりフリー区間のため、手動になります。」というものです。これは、通常ではドア開閉後一定の距離を走行すると自動的に運賃表示機、音声放送が送られるところ、フリー区間では、途中で乗り降りがあった場合に対応して、すべて手動で操作する必要があるためと思われます。

▽玉子丼さんからのコメントです
 ほくてつバスや本体東部(西部はわかりません)に関しては、手動にはなりません。なので1区間で2回以上停車した場合、始発ボタンでの操作を必要とします。

 (情報ご提供:玉子丼さん)


 ・ 車内放送

 フリー区間内では、途中で乗降があったときのために次停留所コールの放送が2回分入っています。最近は2回目の放送のスタートが「次は」でなく「間もなく」になっている場合もあります。

 ただ、送りボタンを2度押しされるケースが多く、フリー区間内では「次は」バージョンがあまり聞けないという変なことになっているのですが……。

 一回目の放送の時点で停留所に着くと、ICaや整理券の番号が進んでいないために誤引き去りを起こす恐れがあるため、気を使うそうです。こういうこともあり、送りボタン2度押しで確実に整理券番号を進める乗務員さんが多いようです。

▽玉子丼さんからのコメントです
 フリー区間内では、同じ停留所の放送が2回流れるんですが、運賃表においては、1回目と2回目では運賃表の停留所の番号が違います。別のバス停として扱われます。当たり前っちゃ当たり前なんですが。市内中心部の香林坊や武蔵ヶ辻なんかでよく見られる2ヶ所停車みたいなものです。

例)医王山線の停留所と整理券の番号
 加賀田上   :20 10
 太陽丘NT  :21 11
 俵(1)    :22 11
 俵(2)    :23 12
 俵小学校前(1):24 12
 俵小学校前(2):25 12
 (左が停留所、右が整理券)
 (情報ご提供:玉子丼さん)


 ・ 整理券番号

 車内放送に関連して、フリー区間での整理券番号は、放送1回目は手前の停留所、2回目は前方の停留所の番号になります。

 例)犀川線の瀬領バス停(下り)の場合
  1回目は14(上辰巳)
  2回目は15(瀬領)
 (情報ご提供:玉子丼さん)


 ・ ボタンを押した後にフリー降車があると……

 ブザーボタンが押されたあとにバス停以外のところで降車する方がいた場合、前ドアが開くと同時に降車予告灯が消えますので、もし停留所で降車を希望される場合は、もう一度ブザーボタンを押す必要があります(押さなかった場合は通過されてしまう可能性があります)。


参考文献
 「北陸鉄道五十年史」
 北陸鉄道社内報「ほくてつ」各号
 「金沢市史 現代編 続編」

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