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七尾のパトリア,未来へ

 JR七尾駅前にある複合商業施設「パトリア」。電車を降りて、最初に目にする大きな建物です。廃墟モールと化していたのもいまは昔、ドン・キホーテとニトリの2枚看板で人を集めています。

最終修正:令和6年4月1日 (4)

 「パトリア」が建つ前、この場所にはもともと昭和48年(1973年)12月13日開業の旧「ユニー七尾ショッピングセンター」や、その他さまざまな建物が多数ひしめいていたようです。

 昭和59年(1984年)発行の住宅地図によると、ユニー七尾ショッピングセンターのユニー七尾店以外のテナントとフロア構成は、つぎのように記載されていました。
[1F]
 明治堂
 金子花商園
 金賞堂
 ボナール
 ピーコック
 七尾味のれん会
 北京
 竹一
 マリーナ
 中山薬局
 寿がきや
 八幡寿し
 菱富食品
 合同食品
 ギフト・パック
[2F]
 ギャルフィット
 赤いシャベル
 樹里亜
 ラフォックス
[3F]
 ミヤコ
 さが美七尾店
 Booksみうら
[4F]
 レストラン亀伴
[5F]
 秋田電機
 ファリミーランド

 中山薬局は旧ユニー時代からのテナントなのですね。

 八幡寿し(すしべん)が持ち帰り寿司、またピーコックはここにもあったのですね。それと寿がきやです。寿がきやの石川県内1号店が、ここ七尾ユニーだったそうです。

    

 そして、このユニーなどの跡地を再開発して建設されたのが、七尾駅前第一再開発ビル「パトリア」です。

 平成7年(1995年)4月29日にオープン。建物の管理は第3セクターの「七尾都市開発(株)」という会社が担いました。

 キーテナントは、「ユニー七尾店」(のちの「ピアゴ七尾店」)。そして大和ギフトショップも出店していました、

 パトリアが開業した頃、量販店(ユニー七尾店)、百貨店(大和ギフトショップ)、専門店街が1つの建物内に同居するスタイルは石川県内でも珍しいものだったといいます。

 
 ▲アスベストは使用していません

 平成8年(1996年)の住宅地図によると、パトリア初期のテナントは次のようになっていました
[1F]
 ユニー
 大和
 ミスタードーナッツ
 ラ・パルマ
 シャトレ
 大西洞
 ドミンゴ
 フラワー金子
 ボナァール
 パーティランド
 お茶の油谷
 丸田昭和堂
 梅屋堂五郎
 フランセ
 七尾チャンスセンター
 カメラBOY金賞堂
 クリーニングおおもり
 ATM
 のとしんくらしの相談室
[2F]
 ユニー
 大和
 ギャルフィット
 エステール
 RONRON
 野ばら
 アクセサリーRODA
 東京インセンス
 東京さが美
 ジュアン
 ライムストーン
 トランプス
 ラフォックス
 ソフィ・マーレ
[3F]
 ユニー
 ミッシェル
 チャオ
 ドコモショップパトリア
 ラ・フェスタ
 セルラーショップパトリア
 書店きくざわ
 マリモ
 SEASON`S
 サンピアメガネ
 ミヤコ
 キノミ
 ナムコランド
 サービスカウンター
[4F]
 フォーラム七尾
 フォーラムホール
 フィットネスルーム
 健康サロン
 談話室
 事務室
[5F]
 フォーラム七尾
 生活実習室
 会議室
 和室

 平成18年(2006年)7月1日には第二再開発ビル「ミナ.クル」がオープンし、パトリアとは3階部分から「あいあいばし」と呼ばれる渡り廊下で接続されました。

 「ユニー七尾店」は店舗ブランドの統一に伴う名称変更により、平成21年(2009年)2月21日から「ピアゴ七尾店」となっています。「ピアゴ」という名称はイタリア語で楽しいを意味する「ピアチェヴォーレ」と場所を意味する「ルオゴ」を合わせたネーミングで、『楽しい場所』という意味が込められているということです。

 その後も「ピアゴ七尾店」はパトリアの核店舗として、旧ユニー時代から数えると実に44年にわたって七尾駅前の顔として営業を続けてきましたが、運営会社の合理化により、平成29年(2017年)2月12日を最後に撤退となりました。

 
 ▲ピアゴ時代のパトリア。こんなに賑わっていたこともありました

 「ピアゴ七尾店」撤退により後継テナントの確保が急がれていましたが、平成29年(2017年)4月29日、食品スーパー「カジマート七尾パトリア店」と書籍売り場「うつのみや七尾店」が開店し、リ・オープン。

 さらに同年5月上旬には衣料品の「M・ネクスト」(ますや衣料)とゲームコーナーがオープンし、さらに6月23日にはホームセンター「ロッキー パトリア店」がオープンしました。

 
 ▲カジマート、うつのみやがオープン

 また平成30年(2018年)1月4日には3階の空きフロアに七尾市役所の窓口のうち、福祉課、子育て支援課、保険課、健康推進課、七尾市福祉協議会が移転し、行政施設としての色彩も強まってきました。

 なお、ピアゴ撤退後もエスカレーターの自動音声はユニー時代のものが継承されており、
『危ないから、良い子はエスカレーターで遊ばないのよ? ねっ?』という特徴的な放送を引き続き聴くことが可能でした。

 
 ▲七尾市役所の窓口が入るようになった頃

 が、残念ながらパトリアを運営していた七尾都市開発(株)は平成31年(2019年)2月15日に行われた取締役会で破産の申し立てを行うことを決議──。ユニー撤退後、新たなテナント開発が模索され、再生への道を歩み始めたかのように見えたのですが、薬石効なかったということなのでしょうか……。

 当初、平成31年(2019年)3月3日でパトリアは営業を終了することが発表されていましたが、各テナントより「急すぎる」という声が上がったことから、閉店の期日は5月6日まで延期となりました。

 しかし、テナントのうち「ロッキーパトリア店」や100円ショップ、ゲームコーナーは当初の予定通り3月3日で閉店。「大和ギフトショップ」についても同日で退店し、ミナ.クル1階へと移転することになりました。

 さらに「うつのみや七尾店」は3月7日閉店。キーテナントとなっていた「カジマート七尾パトリア店」までもが3月10日を最後に――。そして「ドコモショップパトリア店」も3月11日に閉店し、ナッピィモールへ移転していきました。

 
 ▲陳列棚で封鎖された店舗跡

 
 ▲ゲームコーナー跡

 「ミスタードーナツ」や地元テナントの一部だけは営業を継続していましたが、この頃になると資金不足のためにエスカレーターは停止し、あたかも2階は営業していないかのような雰囲気が漂い、もはや2階のテナントは正常に営業を続けるのが難しい状況となっていたように見受けられました。

 運営会社が示していた閉店期日の令和元年(2019年)5月6日以降も一部テナントが営業を続け、七尾の玄関口を守っていましたが、令和元年(2019年)5月31日を最後にパンの「ラ・パルマ」が閉店。ついに館内で食べ物を購入できるのは「ミスタードーナツ」だけとなってしまいました。


 
 ▲この頃は……どん底の時代を経験したパトリア

 
 ▲エスカレーターは停止……

 
 ▲昼なお薄暗かった廃墟状態の頃のパトリア

 
 ▲真っ暗なエレベーターホール

 
 ▲あれだけ明るかった館内が……

 
 ▲100円ショップのあった辺り

 その後、結局パトリアの建物は七尾市が取得することになり、医療、介護などの行政サービス、食品、衣料の買い物や散髪などの日常生活を支えるサービスをワンストップで提供できる施設としてリニューアルオープン。商業スペースは「七尾駅前にぎわい館」、駐車場は「パトリア市営駐車場」として生まれ変わり、生ける廃墟のような最悪の状況からは改善されました。

 令和3年(2021年)7月30日には1階フロアに能登地区初となる「ドン・キホーテ七尾店」がオープン。他地域の店舗を比べてシニア層も買い回りしやすいように通路幅を広くし、店内装飾も視認性を優先した店づくりとなっているそうです。

 このほか1階には食パン専門店や弁当店、美容室などが出店、また3階には学習塾、英語教室、保険会社が進出しています。

 
 ▲七尾駅前の顔,パトリアはいつまでも……

 令和4年(2022年)1月28日には空いていた2階部分に大型家具店「ニトリ」がオープン。ドンキとともに目玉となっています。

 「パトリア」とはイタリア語で「故郷」を意味する名前だそうです。七尾の人々が“故郷の駅”に降り立って最初に目にする思い出の場所、それがパトリアなのだと思います。


参考文献
 「北國新聞縮刷版」各号
 「住宅明細図 七尾市・鹿島郡」昭和59年版
 「ゼンリン住宅地図 七尾市・鹿島郡」各年版


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