もりさけてんTOP > もりさけショッピ > 当ページ

武蔵の百貨店・金沢エムザ

 近江町市場と並ぶ武蔵の象徴、憩いとうるおいのある街・武蔵の百貨店「金沢エムザ」(旧:めいてつ・エムザ)。地上70m・18階建ての金沢スカイビルの中核を成す地上9階、地下2階建てのデパートです。

 

最終修正:令和6年4月1日 (4)

 エムザを経営する「(株)金沢丸越百貨店」は現在「かなざわはこまち」になっている場所にて「丸越百貨店」として創業したのが最初です。

 昭和37年(1962年)5月29日、北陸鉄道(株)とともに名古屋鉄道(株)の傘下に入り、以来長らく名鉄グループのデパートとして親しまれました。

 昭和48年(1973年)8月13日に運営会社の社名が(株)丸越から(株)金沢名鉄丸越百貨店に変更され、さらに昭和48年(1973年)10月1日のスカイビル完成とともに現在地へ移転(跡地は「ダイエー金沢店」を経て「かなざわはこまち」へ)、社名と同じ店名の「金沢名鉄丸越百貨店」として、(株)武蔵開発の手によるファッションフロア「スカイプラザ」とともに営業を開始しています。

 なお、武蔵活性化協議会が出した「むさし 限りなき未来へ向けて」という本によると、移転の話が出始めた当時、丸越側には金沢駅前へ進出するという考えもあったそうなのですが、武蔵地域の商業者から武蔵地区に残るよう強い要望があり、話し合いの結果、現在地への移転という結果でまとまったということでした。

 名鉄丸越百貨店の当初のフロアは……

 9階・プレイフロア  (ペットショップ,ゲームコーナー、屋上パーラー)
 8階・レストフロア  (だいます、中華香林、パーラーカワカミなど)
 7階・フレンドフロア (書籍、レコード、オーディオ、カメラなど)
 6階・インテリアフロア(家具、インテリア、ギフトなど)
 5階・リビングフロア (日用家庭用品、電化製品、喫茶ナポリなど)
 4階・マミーフロア  (ベビーセンター、子供服、呉服など)
 3階・メンズフロア  (紳士服、ゴルフウェア、時計、眼鏡など)
 2階・レディスフロア (婦人服、手芸用品、ランジェリーなど)
 1階・ファンシーフロア(アクセサリー、バッグ、化粧品、名鉄観光など)
 地階・フーズフロア  (のれん街、和洋菓子、薬品、アイスクリームなど)

 ――となっていたようです。

 一方、スカイプラザは専門店街となっており、3階に「いとはんスカイビル店」(のちの北陸ジャスコ スカイビル店)、2階に「サロン・ド・グティー」「アン」「ロワール島田」「オカモトファミリア」「銀座京や」など、1階に「鈴丹」「テイジンメンズショップ」「ピノチオ」「たかせ」「モンド」など、地階に「ジャーマンベーカリー」「ティーランド」「ぼてぢゅう」「チュー」「すし捨」などが軒を連ねていたようです。

 お好み焼きのぼてぢゅう、中華チューなど、現在も盛業中ですね。1階のたかせは出羽町にあるお店の関係店でしょうか。

 昭和56年(1981年)4月25日にはスカイビル南側の増築が行われ、「ニュースカイプラザ」がオープン。(株)ニュースカイプラザにより営業が開始されています。ニュースカイプラザは都会的ファッションビルとして若い女性客をターゲットとしており、ファッション関係のショップを充実させていたそうです。いまでいう香林坊東急スクエアやフォーラスのような、ファッションビル業態だったのでしょう。

 スカイプラザとニュースカイプラザは現在のエムザ南側、黒門小路や北鉄サービスセンター、ブック宮丸などのある地下1階〜地上3階までのフロアに相当しますが、建物内をよく見るとスカイプラザ部分とニュースカイプラザ部分は構造的には別々になっており、2つを巧みに接合して連続的な建物としている様子が分かるかと思います。

 昭和60年(1985年)9月にスカイプラザ3階に入居していた「北陸ジャスコ スカイビル店」が撤退。同年10月4日のリニューアルオープンに際し、元ジャスコだったスペースには紳士服売り場や喫茶コーナーが移設されています。

 

 その後、平成14年(2002年)4月27日に「金沢名鉄丸越百貨店」「スカイプラザ」「ニュースカイプラザ」が一体化し「めいてつ・エムザ」としてリニューアルオープンしています。

 エムザオープンを報じる北國新聞の記事によると、「エムザ」の「エム」はアルファベットの「M」で、“皆様”“武蔵”“名鉄”“丸越”“武蔵開発”という意味が、「ザ」には人々が集う空間である「座」という意味が込められているそうです。なお、ネーミングの候補には、ほかに「マルコ」「ミューズ」「エスタ」などの候補があったといいます。

 
 ▲めいてつ・エムザの商品包み

 リニューアルに際して、1階には「スターバックスコーヒー」が香林坊109店(現:香林坊東急スクエア)に続く石川県第2号店舗としてオープンし、エムザの象徴的存在となっています。

 地下1階には和洋菓子や惣菜の名店が軒を連ねる「エムザフーズマーケット」、生鮮食料品の「カジマートめいてつエムザ店」、ドラッグストア「ヒグチ」、夜10時まで営業(当時)のレストラン街「エムザダイニングガーデン」が導入され、デパ地下としての魅力も高められました。

 なお、デパート名が「めいてつ・エムザ」となったあとも、経営会社の社名は「(株)金沢名鉄丸越百貨店」を守り、創業当時の「丸越」の名は残されました。

 平成21年(2009年)9月12日には地下1階に書籍売り場「ブック宮丸めいてつ・エムザ店」がオープンしています。


 
 平成26年(2014年)11月28日には金沢土産の新名所「黒門小路」が1階と地階にグランドオープン。北陸新幹線金沢開業を迎え、全国から訪れる観光客の方に喜ばれそうな地酒、銘菓や金箔などの工芸品などが販売されています。1階は以前スターバックスコーヒーだった場所に入口が増設されました。

 その名の通り、黒い門です。金沢城黒門の方角を向いていることから命名されたそうで、御影石などを積み上げ漆喰が施された「城壁」を持ち、城下町金沢らしい雰囲気となっています。内装も藩政期の町家が並んだ「小路」がイメージされ、落ち着いた時間が流れています。

 また、このとき同時に黒門小路1階へ「北鉄バスサービスセンター武蔵エムザ店」が移転したのは前述の通りです。

 

 長年“武蔵の顔”として親しまれてきた「めいてつ・エムザ」ですが、折からのデパート不況により赤字が続いていたそうで、これにコロナ禍が重なったことで状況が深刻化……。名鉄グループから切り離されることになってしまいました。

 令和3年(2021年)3月31日付けで、同じスカイビルで営業している「ANAホリデイ・イン金沢スカイ」とともに他社へと売却されることになったのです。

 新しく経営に当たるのは、茨城県牛久市を本拠地とする(株)ヒーローという会社です。私たち石川県民にとってはまったく耳慣れない社名ですが、茨城県内でローカルなディスカウントスーパーの経営を手掛けておられる会社さんだそうです。

 同社は百貨店とホテルの営業について「当面の間、継続する」としているそうで、まずは一安心です。さっそうと表舞台に登場したヒーロー。県民から受け入れられ、ハッピーな形で再建が成功すれば良いですね。

 エムザを運営していた(株)金沢名鉄丸越百貨店は「(株)金沢丸越百貨店」に社名を変更し、店名については“めいてつ”こそ外されるものの“エムザ”のブランドやシンボルマークは残されました。

 令和3年(2021年)4月1日より「金沢エムザ」としての営業が開始されています。

 

 しかし、建物の大部分が完成から50年近くを数えるスカイビルには耐震化という重要な課題も残されており、それをも込みで(株)ヒーローは継承したことになります。

 大変だとは思いますが、金沢ブランドを背負った企業市民としてその使命を全うし、名実伴う『ヒーロー』としてここ武蔵の空に希望を与えて頂きたいものです。


 
 令和4年(2022年)8月5日、3階にブックカフェ「ツタヤブックストア」がオープン。隣には同年7月29日にオープンしたカプセルトイ専門店「ガチャガチャの森」も。集客力と話題性に優れたテナントでまちなかへ市民を誘います。

 令和4年(2022年)12月16日には4階に「二トリEXPRESS金沢エムザ店」もオープン。魅力的なお店が増えてきました。


 
 「金沢エムザ」に改称後の塔屋です。「MEITETSU」の部分が「KANAZAWA」に変わりました。


 
 スタジオ通りを挟んだ北側には立体駐車場「エムザスカイパーキング」があり、空中ブリッジで百貨店と結ばれています。パーキングは8階建てで、1階は商業施設となっています。

 昭和58年(1983年)9月23日に当時北陸最大規模とされた750台収容の立体駐車場「名鉄スカイパーキング」として完成。エムザ売却により現在のように「エムザスカイパーキング」と改められました。


 
 エムザが建っているところには、かつてタカジアスターゼを発明した高峰譲吉博士の邸宅があったようで、エムザの裏手に「高峰譲吉博士住居跡」の碑が埋め込まれています。

 また、現在エムザが建っている界隈には、かつて金沢市住吉市場(青物卸売市場)があったそうです。昭和41年(1966年)7月15日に新しい中央卸売市場が完成し、住吉市場の機能は同市場へ移転したということです。近江町市場とともに、昔から商業の拠点だったのですね。


 
 デパートといえば屋上広場。エムザの屋上は、旧スカイプラザだった部分の屋上にあたる3階・4階屋上と、旧名鉄丸越百貨店だった部分の屋上である9階屋上の2フロアがあります。

 ここはビル街にある秘密のオアシスといえるかも知れません。お昼に日向ぼっこしながらお弁当を喰べている会社員の方も多いですね。


 
 こちらは4階部分の屋上で、3階屋上から階段を登って行くことができます。緑が多く、空にある公園のようになっています。


 
 3階屋上から螺旋状の階段を登って、ひとつ上の高台のようなフロアへ行くと、なんとそこには神社があります。「武蔵住吉神社」です。明治12年(1979年)の創建で、もともとエムザの建っている場所にあった住吉市場を守る神様だったそうですが、スカイビル完成後の昭和50年(1975年)に屋上へと遷座したもののようです。

 外から見ると、エムザ3階屋上部分にはこんもりと森のような茂みの見える部分がありますが、それが武蔵住吉神社の森です。

 令和3年(2021年)7月6日よりご神体を安江八幡宮へ仮遷座し、改修工事に着手。傷んでいた鳥居や神社周辺の階段の修復が行われ、同年10月14日に改修が完了。10月15日〜17日にかけて慶賀祭が盛大に執り行われました。


 
 慶賀祭に際して店内にも鳥居が設置されました。この鳥居をくぐり続けてたどっていけば、迷わずに神社に行きつくことができるという趣向でした。


 
 9階の屋上広場です。


 
 そして9階屋上にも神社があります。「武蔵稲荷大明神」で、こちらは丸越百貨店が建立したものだそうです。昭和10年(1935年)に創業者の林屋亀次郎氏(北鉄初代社長)が京都の伏見稲荷神社から商売繁盛の分霊を受けて旧店舗の屋上に創建。昭和48年(1973年)のスカイビル開業にあわせて移設されています。1つのデパートに2つも神社があるとは珍しいのではないでしょうか。


 
 以前は9階屋上には「電車でGO!3」が鎮座していましたが、現在はほかのゲーム機も含めて全て撤去され、休憩用のソファーが並ぶのみとなっています。


 
 エムザ9階屋上から橋場町方面を望みます。

 デパートの屋上は格好の展望台です。街並みを眺め、走りゆくバスを追う。これもたのしみのひとつです。



 

 こちらのページもどうぞ
 →(味わいバス停)武蔵ヶ辻・近江町市場


MORI SAKETEN.com SINCE 2003


もりさけてんTOP > もりさけショッピ > 当ページ





inserted by FC2 system