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追憶の赤坂パレット

最終修正:令和6年4月15日 (3)

 平成30年(2018年)3月31日に惜しまれつつ閉館の日を迎えましたが、以前、金沢市笠舞の赤坂バス停前にはショッピングタウン「パレット」がありました。

 昭和の雰囲気が漂っていたこのショッピングセンターですが、特筆すべきは、ここのインフォメーションコーナーにはICaの自動積み増し機が設置されていたということです。積み増しなどを行った場合の履歴印字は「赤自」でした。

 北鉄関連の施設以外で自動積み増し機が設置されているのは、当時は「香林坊大和」「金沢大学自然研」「安田薬局」そしてこの「パレット」の4ヶ所のみということで、非常に稀少な存在でした。それだけバスを利用してショッピングに訪れる人が多かったということでしょう。北鉄で最も本数の多い路線である花里線沿線ならではのことといえたのかも知れません。

 

 この「パレット」は昭和51年(1976年)11月12日に「赤坂プラザ」としてオープン。当時は地域の方から“赤プラ”という愛称で親しまれていたそうです。パレットの公式ブログによれば、「赤坂プラザ」という店名は北鉄バスの「赤坂」バス停の前にあることから命名されたものということでした。

 昭和45年(1970年)当時の住宅地図を見るに、この場所には元はブドウ畑が広がっていたようで、当初のキャッチフレーズも“ぶどう畠のショッピングタウン”というものだったようです。現在も「西野ぶどう園」のブドウ畑が隣接していますが、同園はパレットの公式ホームページによると、管理する赤坂ビル(株)の関連事業所として記載されていました。

 開業当時の広告によると、当初のテナントは次の通りだったようです。

 バザール
 福進チェーン
 bunbunレディスショップ
 ブランドシューズ サンローゼ
 ホビーチャイルド
 こどもブティック ピノキオ
 化粧品・アクセサリーやまぎし
 ボタンと手芸の店フタバ
 カメラのナカイ
 リトル・スタジオ
 ウエストポート
 おもちゃの王様ねづや
 クスリのキリン堂
 びゅーてぃ花里
 サンコードライ
 モラ
 中田図書販売(株)
 廻る元禄寿司
 寿がきや
 うどん・そば・中華 味一番
 ピーコック
 パン洋菓子プレドール
 高級洋菓子ドリアン
 カフェテラス ミリーナ
 高級和菓子 板屋
 お茶の平木園
 コーヒー豆販売デスタンコーヒー
 手打ち麺 どん庵

 食品スーパー「バザール」と衣料品の「福進チェーン」を核として、「おもちゃのねづや」「クスリのキリン堂」「寿がきや」「中田図書販売」などそうそうたる店舗が揃っていたようですね。

 赤坂プラザの福進チェーンは、福井県三国町を本拠地とする「コドウ(株)」という加盟店が担当していたようです。同社は昭和62年(1987年)8月に「コドー商事(株)」と改称されています。

 昭和63年(1988年)12月21日には1300坪の地下1階フロアが増設され、ゲームセンター「ナムコファミリーランド」などがオープンしています。

 平成5年(1993年)4月6日には全面改装が行われ、リニューアルオープン。このとき「パレット」という名称に変更されました。当時の広告によれば、「パレット」という店名には『好みの色を自在に混ぜ合わせて生活を楽しく彩ってほしい』という願いが込められていたそうです。

 リニューアルに際して、全館で利用できるポイントカード(パレットハッピーポイントカードまたはバザールカード)も導入されています。このように全館で使用できるポイントカードの導入は、石川県内のショッピングセンターで初めてのことだったといいます。

 
 ▲パレット前の赤坂バス停

 平成7年(1995年)の住宅地図によると、この時点のテナントは次の通りとなっていたようでした。

[B階]
 ファニチュア西大
 ビデオシティ
 カラオケスタジオ アゴラ
 ナムコランド

[1階]
 バザール
 コドー
 ブックスなかだ
 セ・ビアン シャーリー
 カワカミ
 やまぎし
 パーティランド
 蛸八
 どん庵
 ボンシック
 フタバ
 ジュエリーマキ
 おしゃれ雑貨タマキ
 ナカイ
 コーヒー農場
 サンコードライ
 ジグザグ
 ジャック
 ジャーマンベーカリー
 板屋
 ピーター
 キリン堂
 北陸ホームサービス

[2階]
 バレット文化教室
 公文式赤坂教室

[R階]
 駐車場

 地下1階のレンタルビデオ店やゲームセンター、カラオケ店は高校生の放課後ライフにマッチしており、下校時はわざわざバスを途中下車してまで寄り道するほどの人気ぶりだったといいます。金沢東高校(現:金沢学院高校)の卒業生の方に話を聞くと、当時の生徒はパレットで下車できるようにするために「下バス」([18]番)のルートで定期を作る生徒が圧倒的に多かったということでした。

 その後、衣料品のコドーは撤退。キーテナントの「バザール」も、富山県を本拠地とする「アルビス」の子会社(現在は吸収合併)となったことにより、平成18年(2006年)3月24日に「スーパーストアチューリップ パレット店」に。さらに平成23年(2011年)3月1日に「アルビス パレット店」と改称されています。

 平成29年(2017年)の住宅地図に記載されているテナントは、次の通りとなっていました。

[B階]
 レンタル ゲオ
 カラオケBanBan

[1階]
 アルビスパレット店
 本と文具松川 松川ブックス
 ペットショップ ペット1
 ハクジュプラザ
 オートモ笠舞店
 カットコムズ
 マクドナルド金沢パレット店
 くつのオオニシ
 LIMITED
 ロザン
 あかさか
 くらしのリフォーム
 S&Iツアーズ
 ぷちカフェ
 ヤングドライ
 ジャーマンベーカリー
 板屋
 北陸ホームサービス

[2階]
 バレット文化教室
 レントピア

[R階]
 駐車場

 高級和菓子「板屋」だけがオープン当初からのテナントとして残っていることに気付きます。

 残念ながら、パレットは平成30年(2018年)3月31日を最後に閉館しました。非常に賑わっていたショッピングセンターで、不採算などとは無縁とも思えたのですが、北國新聞の報道によると耐震化に高額な費用が必要なため、取り壊しが決まったということでした。

 その後、令和元年(2019年)10月9日、跡地には「アルビス笠舞店」がオープンしました。無料Wi-Fiを配したイートインコーナー「アルビスカフェ」も備えており、楽しいショッピングの記憶が残る赤坂に、いま新しい歴史が築かれようとしています。

 


 


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