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地下の風穴・美佐島駅

 北越急行ほくほく線「美佐島」駅。トンネル内にある駅はほかにもあれど、この駅は特急はくたかが高速通過するために恐ろしい「音」が発生する駅として知られています。新幹線開通後はここを「はくたか」が通ることもなくなるので、その前に「音」を体験してみようと降りてみました。

最終修正:令和5年2月22日 (8)


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 普通列車・越後湯沢駅で美佐島を目指します。なかなかレアと思われる「美佐島ゆき」のキップ。

 美佐島までの間、まずその前哨戦というか、第1のイベントがあります。トンネル内での特急「はくたか」の通過待ちです。これは何度か体験しましたが、やはりほくほく線の普通列車に乗るからには、これを味わうのが通過儀礼というものでしょう。

 まつだい〜十日町間のトンネルのなかで、そのときは来ました。トンネルのなかでブレーキがかかり、乗務員さんが「特急列車との行き違いのため……」とアナウンス。薬師峠という信号場のようです。

 「はくたか」がトンネルに入ったと思われる瞬間、キュッと一瞬で耳が塞がれたようにおかしくなります。狭いトンネルに高速で突入して、空気がピストンのように圧縮されるからでしょう。そしてそれからだいぶ経ったあと、フロントガラスの前方にヘッドライトがビームのように伸びてきて、「はくたか」が窓を震わせながら高速進行していきました。

 暖色系の照明の窓が帯のように流れて行っただけで、相手の列車に座っている人々の姿はまったく分かりませんでしたが、おそらく「はくたか」に乗っている人達は、普通列車が真っ暗なトンネルの壁に張り付くように通過を待っているなんて、思いもしないでしょう。ぼくだって普通列車はトンネルのなかで退避していたなんて、「電車でGO! 2」をプレイするまで知らなかったですから。特急と普通との目線は違います。

 再び発車。トンネル続きから脱出した十日町は、大都会のように思われます。十日町を出ると、しんざという小駅を経て、まもなく美佐島駅のあるトンネルへ突入します。


 
 さぁ、初めて美佐島に降り立ちました。

 列車の発車を見送ったあと、ギュルギュルと物凄い音をたてて開く金属製の自動ドアから、なかへ。


 
 想像以上に物々しい雰囲気。厳重な金属製の自動ドアは、一度入ってしまったら、もう開きません。列車が来るまではホームに出られなくしてあるのです。出口に通じているのはこちらの側なのに、なぜか閉じ込められたような感覚に。


 
 まるで閉じ込められたように錯覚するのは、地上への階段へも同じ金属製の自動ドアで守られているためです。この地下待合室は2枚の厳重なドアに区切られた閉鎖空間となっています。風圧の関係から、ホームのドアと出口へのドアは同時に開かないようになっているそうです。


 
 確固たる意志を示している宣告。


 
 とりあえず、地上がどうなっているのか、見てみようと思います。地上への階段……。明かりが見えます。


 
 途中にはこんなポスターが。


 
 階段は意外と短く、まもなくコンコースへ出ました。


 
 大仰な乗車駅証明書(整理券)発行機。券売機なみのサイズがあるのに、ボタンは真ん中にポツンと一つのみ。


 
 外へ出てみました。駅舎は綺麗に整備されていますが、背後にホームが見えないので、なんとなく廃駅のような様相。


 
 駅前風景。


 
 ふたたび、地下へ戻りましょう。


 
 地下待合室が見えてきました。一瞬、エレベーターかとも見えそうですね。

 さて、いよいよそのときを体験する時間がやってきました。突然、「ゴォー」という音がしはじめ、はじめは換気扇が作動したのかと思ったのですが、どうやらこれが列車がトンネルに入ったことによる気圧の変化で生じた音なのでしょうか。

 「電車が高速で通過します」という自動放送が流れ、換気扇のような音に、少しずつ、ヒューという風切り音が重なりはじめ、それが大きくなったり小さくなったりしながら、やがて台風並の嵐のようになっていきます。これが美佐島の音でした。


 
 そして、赤い帯が厳重な鉄のドアの向こうに左へと流れていきました。9両はつないでいるはずですが、最高時速160km/hの特急の通過は、まるで3両程度の短さのような感じで一瞬でした。

 去って行ったあとも、嵐の音は後にずっと残り、その音が少しずつ低くなっていって、ブレーキをかけたようにヒューンと一気に低くなって、消えました。おそらくそのとき、列車はトンネルから出たのでしょう。



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