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利賀村ハイエース乗り継ぎ


最終修正:令和5年2月20日 (6)


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 平成27年(2015年)6月、南砺市営バスで利賀へ行ってきました。井波から利賀へ、利賀から八尾へ。いずれも旧利賀村営バスだった路線です。利賀へバスが通じていることは知っていましたが、なにぶん山また山の奥地。バスの本数も少なく、隣県にいながら、これまで足をのばす機会がありませんでした。

 
 加越能バス庄川町線で、井波に着きました。

 
 旧井波駅には加越能鉄道加越線の駅舎がそのまま残っています。以前訪れたときは鍵がかかっていてなかに入れませんでしたが、今回は入れました。加越線の写真が展示されており、それを見ながら時間を待ちました。

 
 この駅舎の脇に、「井波」停留所があります。このポールは旧利賀村営バスから継承したものですが、現在は南砺市営バスの発着路線すべてで共用されています。もとは「井波町」停留所で、南砺市になったときに「町」が消されたのですが、それがめくれて、また「町」が見えてしまっています。

 
 ちょうど、道路の向かい側に井口方面福野駅ゆきが停車しました。立派な路線バスですが、一方、これから乗らんとする利賀ゆきは――。

 
 このようなものです。

 ハイエースだけあって、降車ボタンなし、放送なし。乗るときに行き先を訊かれました。一般の乗客は井波から1名、アスモから1名。2人とも運転士さんと世間話をしており、みんな顔見知りのようでした。「昔は井波まで900円やったのが、いまは200円や。こうして乗っとると、また知った人と喋れるしのう。」と、おばぁさん2人。

 
 大正時代から昭和10年頃までの、10人乗り程度が主流だった頃の黎明期のバスを想像しつつ……。

 庄川の対岸に渡り、小牧堰堤を反対側から見ながら登ると、道は急激に険しく。どんどん登り、しかし窓の外に常に庄川の渓谷はありました。山深い、でなく「谷深い」。

 
 渓谷また渓谷の車窓が開けてきて、やがて利賀行政センターに到着。バスは阿別当ゆきですが、阿別当まで行くと乗り換えることができませんので、ここで下車としました。

 
 停留所のローマ字は「YAKUBAMAE」となっていました。

 
 行政センターの構内にガレージがあり、市営バスが何台か停まっています。スクールバスとしての運用もあるのか、大きめなバスも。行き先は「村内線」でした。しかしその横のマイクロバスは「市内線」となっています。

 1時間待って、ようやく八尾ゆきに乗車。今度も南砺市営バスで、またハイエースでした。

 話好きらしい運転士さんは、一番前にいるおばさんと、ずっとおしゃべり。あのおじいさんはどうした、施設に入れた、アウトレットができるな、でも遠くて、等々。話題がなくなると「何か面白いことないかい」と。村外の変なマニアが乗ってきたことも、あとの便で格好の話題になるのでしょうか。

 薄暗い崖沿いの道が曲がりくねる。国道とは思えないので旧道に入ったのかな、と思っていると、道端に青色の国道の標識が見えるのでした。分水嶺を越え、井田川のダム湖に沿って、まだまだ走ります。利賀はほんとに、おそろしいくらいの山奥です。

 八尾のまちなかへは、後ろ側から入っていきました。普通は街が近いなという雰囲気が段々と漂ってくるものなのですが、ここではかなり唐突にまちなかの風景になります。そういえば、以前乗った山田から八尾へのバスも同じでした。

 運転士さんは話題がなくなってきたようで、しゃべることが無いあまりか分かりませんが、突然目に入ったお店の看板を「ふくろ亭」などと読み上げたり。さらに、今度は寿司屋の前へきて「ここの寿司はうまい。」と。おばさんもまた「私も食べたことある」と返していたりと、人の乗っているタクシーに忍び込んで同乗しているような気になってくる、不思議な“バス”でした。

 
 終点・八尾駅前着。ハイエースといっても、路線自体の魅力はバスと同じで、乗っていて意外と楽しいものだと思いました。



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