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津幡から北越に乗って

 北陸新幹線が開通すると……消えるものもあります。金沢と新潟を乗り換えなしで結ぶ「北越」号も、そのひとつでしょう。

 

最終修正:令和5年2月22日 (7)


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 北陸本線の津幡駅はぼくの準・地元駅なのですが、この津幡に停車する数少ない特急のひとつが「北越」です。しかしこの「北越」も、どうやら平成27年(2015年)春の北陸新幹線開通と同時になくなってしまうようです。ひょっとしたら、北陸新幹線が開通したあとは、津幡に停車する特急というもの自体がなくなってしまうかも知れません。

 そういうことで、このさい津幡から北越に乗っておこうと思い立ち、平成26年(2014年)5月のある日、津幡駅に出掛けました。


 
 津幡駅のホームに記された、特急「北越」の乗車位置指標。これも来年3月までの光景なのでしょうか。


 
 日に何度かしか特急の停まらない津幡のホームに、「北越」号が入線してきました。

 津幡駅のホームは、このように長編成の列車に対応していて、長いのです。かつては七尾線への分岐駅として、多くの急行列車がこの津幡に停まったようです。最近までホームに立ち喰いそば店が営業していたのも、その時代の名残りだったのかも知れません。ぼくの小さい頃には、駅弁や、名物の「きびあんころ」も売られていました。本線の列車をここで降りて七尾線を待つまでの間、これらは大いに売れたことでしょう。しかし、特急時代になり、本線との特急列車の乗換に適した駅は金沢となりました。

 列車は津幡を離れ、まもなく倶利伽羅峠へかかりました。


 
 この北越号に使われる「485-3000番台」の特徴、リクライニングだけでなく、座面部分も前後にズラすことのできるシート。

 3000番台がはじめて登場したとき、子どもだったぼくの眼には、新型車両にしか見えなかったものです。485系を改造しただけのものとは、まったく思いもしませんでした。おそらく多くの利用客にとっても同じだったのではないでしょうか。それほどその風貌は斬新に見えました。なにせ、ヘッドマークのところが電光掲示で、「北越」の文字の下に波がうねうね動いている! これはもう、ほんとうに凄い車両だと感じたものです。

 津幡時点では10人いるかどうかのガラガラ。高岡、富山と停まっても、やはり淋しい車内のままで、富山平野が尽きて海沿いへ。越中宮崎、親不知。特急列車はどの駅にも停まらず、黙殺。車内のほとんどを占めるビジネス客も、海に目をむけることなく新聞を読んだり、居眠りしたり。糸魚川、直江津と、新潟県内に入って乗車が増えてきて、ようやく特急列車らしい体裁がととのってきたのは意外でした。この日乗った限りでいえば、北越は、金沢と新潟を結ぶ特急というよりは、むしろ新潟県内の都市間輸送の特急といった様相でした。


 
 終点・新潟に到着。


 
 新潟駅万代口バスターミナル。ぼくの好きなターミナルのひとつです。バスは誘導員の笛の音でバックしてお尻を並べて着車し、発車するときは、「左ウィンカー」を出しながら一両ずつ「右へ」一列になり、出発していきます。


 
 ターミナルに並ぶバスたち。


 
 頸城バスの糸魚川駅前ゆき県内高速バスに乗車しました。車両は床のあまり高くない、能登の特急バスみたいな古いエアロバス。乗務員は女性で、おばぁさんが乳母車を上げるのに手を貸してあげていました。能生で降りますので、とおばぁさん。ローカル高速バス。北越だと、能生などには停まらないのです。

 バスは万代シテイバスセンター、古町、市役所前など、高速金沢・新潟線でもおなじみの市内区間を走り、新潟中央ICから北陸道へ。北陸道のバスストップである「鳥原」でさっそく降車ボタンが押されました。高速道路上にいくつものバスストップがあり、そこへの短・中距離利用も多いのが新潟の県内高速バスの特徴ですね。新潟市内から鳥原まで、運賃は360円。それでも高速バスです。

 途中、刈羽PAでトイレ休憩が行われます。トイレのためだけの停車で、用足しが済みしだい発車なのは北鉄の能登特急バスと同じですが、新潟の県内高速バスの場合、希望者は降車ボタンで知らせるという仕組みで、希望がなかった場合は通過するというのが、北鉄と異なるところです。たしか新潟から上越・高田ゆきの越後交通でも同様でした。結局、降車ボタンが押され、停車。

 刈羽を出たあとは、名立・谷浜、能生、早川。早川は上流に笹倉温泉や焼山温泉のある早川を渡ったところにバスストップがあります。駅でいえば、梶屋敷のあたりでしょう。もう糸魚川にほど近いのですが、ここからも乗車することができるようで、ちゃんと停車して時間調整していました。

 セメント工場のケムリを見つつ、糸魚川ICで高速と別れ……、


 
 終点・糸魚川駅前着。2,850円の県内高速バスの旅でした。北越号に津幡から乗るのと似たような、一種ローカルな持ち味のある高速バスだったような気がします。北越号は消えることとなりますが、このような県内の都市を結ぶ高速バス路線は、さらに重要な役目を帯びて行くことになるのかも知れませんね。



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