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交通実験を振り返る
平成12年(2000年)10月の「交通実験2000」を皮切りに、金沢市中心市街地では石川県や金沢市などが主導となり、公共交通の活性化を狙った「交通実験」が実施されていたことがありました。
これらの「交通実験」ではパークアンドバスライドの拡充や歩行者天国、買い物バス券の発行などソフト面の取り組みも多かったのですが、やはり筆者のようなバス好きにとって目立って見えたのは、実験的に運行された特殊な路線の存在でした。このページでは「交通実験」の歴史と実験路線についてを振り返りたいと思います。
最終修正:令和6年2月6日 (21)
平成12年(2000年)10月10日〜15日までの間、記念すべき初の交通実験「交通実験2000」が石川県、金沢市などを主導として北陸鉄道グループの全面協力のもと、実施されました。
「交通実験2000」の目玉は平成12年(2000年)10月15日に香林坊交差点〜片町交差点で行われた「バス+歩行者天国」で、香林坊・片町・タテマチ・広坂・柿木畠の5商店街共同で行われた「5タウンズフェスタ」にあわせ、4車線のうち2車線を路線バス専用レーン、2車線を歩行者天国とした、本格的な「トランジットモール」の実験が行われました。
歩行者天国では屋台村、スーパーフリーマーケット、バリアフリー体験コーナーが開かれたほか、片町ではラブロ前の向かいに郊外方向の臨時バス停も設置されました。
通常、朝・夕のみのバスレーン時間帯が7:30〜18:30までに延長され、さらに有松交差点〜上有松交差点間でバスレーンの延伸実験が行われました。
野々市町横宮(野々市車庫内)に臨時駐車場を設けて実施されました。利用者には往復分のバス回数券(270円×2枚)が無料進呈されました。
最終バス時刻の繰り下げ実験として深夜バスの運行が6路線で実施され、のちの深夜バス本格運行への礎石となりました。実施路線と発車時刻は以下の通りです。
香林坊・片町・タテマチ・広坂・柿木畠の各商店街(5タウンズ)で買い物をすることで、「買い物バス券」という200円分のバス乗車券が発行されました。バス運賃箱に備え付けの引換券を受け取り、加盟店で2,000円以上の買い物をしたあと、引換券を呈示することで発行されるという仕組みでした。
平成13年(2001年)9月8日〜11月11日の間、金沢城公園などで開催された第18回金沢全国緑化いしかわフェア「夢みどりいしかわ2001」開催にあわせて実施されました。
・ 都市近郊パークアンドバスライドの実施
緑化フェアにあわせ、月〜金43日間は緑化フェア臨時駐車場400台、土日祝は計500台の無料駐車スペースが確保され、これにあわせた無料臨時バスが10分間隔で運行されました。
臨時駐車場は城北運動公園(毎日)、西部緑地公園(毎日)、野々市横宮(加賀白山バス野々市営業所)(土日祝のみ)の3ヶ所で、会場側では旧金大附属学校跡地に設営された「広坂芸術街ターミナル」(現在の金沢21世紀美術館)と、広坂緑地の「いもり堀ターミナル」が臨時バスターミナルとなっていました。
シャトルバスは北陸鉄道(株)東部営業所、西部営業所、南部営業所のほか、北日本観光自動車(株)、(株)冨士交通といった貸切事業者の傭車もあり、野々市車庫内に他社の貸切バスが堂々と乗り入れてくる様子は圧巻でした。
このほかに緑化フェアの会場間移動として、「城回りループバス」がAコース、Bコースの2系統設定され、北陸鉄道(株)西部営業所北部駐在(ほくてつバス(株)委託)によって20分間隔で運行されていました。専用車はデビューしたばかりの中型ノンステップバス(81-599〜602)が充当され、緑化フェア終了までは、ここでしか乗れない新車となっていました。
【城回りループバス】
「交通実験2000」に引き続いての実施で、「交通実験2001」では前回の5タウンズに加えて武蔵商店街も参加となりました。
「交通実験2000」に引き続いての実施で、7路線で平日10便、土曜日は14便が増発されました。
平成15年(2003年)1月6日、石川県庁が鞍月へ移転したことに伴い「シティライナー」の運行が開始されましたが、「交通実験2002」はこれにあわせて平成15年(2003年)1月6日〜同年3月31日までの間、新しい都心軸形成を目的に実施されました。
・ シティライナー利用促進実験
シティライナー運行開始にあわせ、平成15年(2003年)2月17日(月)〜3月31日(月)までの間、野町駅〜金沢駅〜県庁前間でシティライナー便の増発が実施され、本便とあわせて、朝3分間隔、データイム15分間隔、夕6分間隔というフリークエントサービスが提供されました。実験便は北鉄金沢中央バス(株)のほかほくてつバス(株)北部営業所も担当し、北部所属のかなりの経年車がシティライナーとして活躍を見せていた光景は目を惹くものがありました。
また、既存路線や鉄道石川線とシティライナーを乗り継ぐ「シティライナー乗り継ぎ割引回数券」が設定され、このまま本格実施となりました(現在、この回数券の発行は終了しています)。
シティライナー開業にあわせ、駅西50m道路の広岡交差点〜県庁・中央病院交差点までの間にバス専用レーンが本格実施されましたが、加えて平成15年(2003年)1月6日〜2月14日までの間には、当該区間では夕方のバス専用レーンの実験が行われました。
また、国道157号線むさし交差点→片町交差点、野町三丁目交差点→むさし交差点で昼間時のバス優先レーン実験も行われました。
「交通実験2001」同様、5タウンズ+武蔵商店街で買い物をされた方に乗車券が発行されました。ただし、「交通実験2002」では2,000円以上の買い物で香林坊〜武蔵ヶ辻間に限定使用できる「100円の買い物バス券」を進呈という形になっています。
新県庁横に50台、野々市町横宮(野々市車庫)に200台分の臨時駐車場を開設し、平日はモニター登録者のみ利用可能、休日は事前登録なしで利用可能とし、バス利用促進が図られました。なお駐車場については無料ですが、バス運賃は通常通り必要でした。
「金沢の街を舞台に、バスの楽しみ新発見」をキャッチフレーズに、平成15年(2003年)11月10日〜12月5日までの間、『シティライナー利用促進プロジェクト』として実施されました。
・ シティライナーフィーダーバス
基幹バスと位置付けられるシティライナーに対し、それに接続する「フィーダーバス」(支線バス)の運行が模索されました。県庁前を起点とし、大野方面と粟崎・内灘方面へそれぞれ全日30分間隔で運行。運賃は全区間とも100円となっていましたが、平成15年(2003年)11月10日〜21日までの間は無料で利用できました。コース上の「みなと会館前」「御供田」といった臨時バス停の設置により、金沢港周辺企業のバス利用推進も試みられています。
県庁前〜大野と県庁前〜内灘駅の2コースとも北鉄金沢中央バス(株)が担当。大型路線車が使われていました。方向幕が実になんともいえない配色だったのが印象的です。
・ 金沢南部フィーダーバス
シティライナーフィーダーバスに加えて[30]額住宅線を基幹バスと位置付け、基幹バスから接続するフィーダーバス(支線バス)の運行実験が行われました。区間は光が丘住宅〜額住宅駅〜菅原団地で、月〜金は7:00〜9:00と17:00〜21:00、土日祝は7:00〜21:00に30分間隔で運行。運賃はわずか50円となっていましたが、こちらも平成15年(2003年)11月10日〜21日までの間は無料で利用できました。
担当は加賀白山バス(株)野々市営業所で、普段は元町有松線で使用されていたPetit(日野リエッセ)で運行されていました。光が丘口(臨停)〜光が丘1丁目にかけては、かつての光が丘経由野々市車庫ゆきの経路を辿っていたことになります。
平成15年(2003年)11月15日(土)、16日(日)の2日間に限り、金沢市都心部の200円均一区間の運賃を半額の「大人100円、子ども50円」とし、利用促進が試されました。この実験では北鉄のみならず、西日本ジェイアールバス(株)についても同様の100円運賃が実施されています。
従来の実験では「買い物バス券」の発行が模索されてきましたが、この年は昼食をした方にバス券のプレゼントが行われる「ランチタイムバス券」となりました。11月20日(木)、11月21日(金)の2日間のみ、5タウンズ及びむさし地区の飲食店において昼食500円以上の利用で、200円のバス券がプレゼントされるというものでした。
平成15年(2003年)11月10日(月)〜12月5日(金)の平日19日間、チューリップ金沢東店駐車場(柳橋車庫向かい)、北陸鉄道(株)南部車庫の2ヶ所を臨時駐車場とし、モニターに限ってパークアンドバスライドの利用が試行されました。駐車料金は無料、バス利用は通常運賃というものです。この2ヶ所でのパーク&ライドは好評で、のちに常設パークとなっています。
平成16年(2004年)11月13日(土)〜11月28日(日)の16日間、「金沢の街を快適、便利なバスで!」をキャッチフレーズに、シティライナー利用促進プロジェクトとして実施されました。
・ 連節バスの運行
「快適なバス利用」に向けたプロジェクトとして、圧倒的な乗車定員を誇るボルボ製連節バスをシティライナー便に充当、平成16年(2004年)11月13日〜28日の16日間実施されました。運行区間は、月〜金は稲荷〜県庁前間を1往復と稲荷〜金沢駅間を2往復、土日祝は金沢駅〜野町駅間を日中1時間間隔で9.5往復運行されました。
◎月〜金ダイヤ
チラシにも「アコーディオンのようなおもしろバス」として紹介された連節バスは京成バス(株)からの貸し出しで、千葉県幕張地区で運行している車両をレンタルしたものです。京成そのままの塗装に「Hokutetsu」などのロゴを貼り付けただけの姿でしたが、しっかりと「16-787」という車号も入っていました。
小ネタとして、京成バス(株)のワンマン機器をそのまま使用したためか、「回送」のLED表示に「Sorry, out of service」と入っていたことと、音声合成の声が北鉄ではありえないネプチューン製で、JRバスでおなじみの「平山さん」の声による案内が聴けたことも付け加えておきます。
運行は北陸鉄道(株)南部営業所が担当し、特別な教習を受けた運転士が乗務。また2両目の車両には運行管理者が添乗し、安全運行に眼を光らせていました。
平成16年(2004年)11月15日〜26日の平日9日間、JR津幡駅、JR松任駅、北鉄鶴来駅、バロー金沢高尾店(扇台小学校前)の4ヶ所と既設の額住宅駅前、チューリップ金沢東店(柳橋)および野々市店(稲荷)、NOA21(野々市中央)、北鉄野々市車庫の4ヶ所を加えた8ヶ所でモニター募集によるパークアンドバスライドが実施されました。駐車料金は無料、今回は再びバス・電車回数券の進呈も行われています。
また扇台小学校前7:50発の金沢駅ゆき、金沢駅18:25発の四十万ゆきが増便され、臨時駐車場と都心とのアクセスが確保されました。バロー金沢高尾店(扇台小学校前)のパーク&ライドは好評で、のちに常設となっています。
「交通実験2003」と同様に、ランチタイムバス券の発行が行われています。期間は平成16年(2004年)11月22日(月)〜28日(日)までの7日間で、ほかは前年同様となっていました。
平成16年(2004年)11月13日(土)〜27日(土)の平日9日間、土曜日3日間に、夕方の本町交差点→むさし交差点→犀川大橋北詰交差点、野町広小路交差点→むさし交差点、中央公園前交差点→香林坊交差点において、バス専用レーンを通常18:30までのところ、19:30まで延長され、スムーズな公共の足の確保が試みられました。
「交通実験2005」は、年度内とはいえ、実際には2006年に入った平成18年(2006年)2月1日〜3月26日までの期間に実施されており、年度納めの交通実験となりました。小型バスを使った2つの100円バスが実験運行されています。
・ 兼六園周辺周遊バス運行実験
兼六園付近の回遊性の向上を目指し、大人100円、子ども50円の循環バスが平成18年(2006年)2月4日(土)〜3月26日(日)の間の土日祝のみ17日間、9:00〜18:00の間20分間隔で運行されました。担当は北陸鉄道(株)東部営業所で、なんと東部担当ながら車両は北鉄金沢中央バス(株)からPetit(日産ディーゼルRN)が貸し出され、充当されていました。
観光路線タイプの循環バスということで、「城下町金沢周遊一日乗車券」「金沢市内観光フリー乗車券」での利用も可能なほか、さらに「兼六園+1」「鑑賞パスポート」「石川近代文学館入場半券」「県立美術館入場半券」「藩老本多蔵品館入場半券」「県立歴史博物館入場半券」「伝統産業工芸館入場半券」「金沢市文化施設共通観覧券」「21世紀美術館入場半券」「中村記念美術館半券」「ふるさと偉人館半券」といった観光施設の入場券を提示するだけで乗車することが可能でした。いわば、観光客にとってはほぼ無料バスに近い形で利用できるようにされていたといえます。
兼六園付近では、「兼六園下」のみならず、兼六坂の途中に「上坂口」、紺屋坂を登った石川橋のたもとに「石川門口」の臨時停留所が設置されていました。
なお、広坂も既設停留所より手前に設置された臨時停留所となっていましたが、これは当時は既設の広坂停留所から広坂交差点を直進するための車線変更が難しいとされていたためと思われます(かつて成巽閣前方面へ向かうバスは広坂を通過し、香林坊の次が成巽閣前となっていました)。
シティライナー便は当時、金沢駅では両方向とも金沢駅東口、西口のそれぞれを経由していましたが、このためにダイヤが乱れがちになり、安定した運行に支障がある状態となっていました。この問題を解決するため、2月1日(水)〜3月15日(水)までの43日間、中央病院・畝田住宅方向に限って金沢駅東口を通らず、六枚町、広岡口経由での運行とする実験が行われました。この実験は非常に好評だったため、実験終了後も引き続き本格実施されています。
内灘駅で鉄道浅野川に接続するフィーダーバスとして、平成18年(2006年)2月1日(水)〜3月10日(金)までの全日36日間、内灘駅周辺を循環する100円バスが朝6時台(土日祝は8時台)〜22時台まで30分間隔で運行されました。担当は北鉄金沢中央バス(株)で、こちらもPetitバスが使用されていました。
平成18年(2006年)2月1日(水)〜2月28日(火)までの平日のみ28日間、「金沢市総合体育館第四駐車場」を臨時駐車場とし、泉野六丁目で[81]柳橋寺町線と乗り換える形で運用されました。実験に伴い、泉野出町一丁目7:59発柳橋ゆき、香林坊21:20発、22:10発の泉野出町一丁目ゆきが臨時増発されています。
従来実施されている土日祝の通勤定期券ファミリー割引を拡大し、平成18年(2006年)2月4日(土)〜3月26日(日)の間の土日祝のみ17日間、定期券所有者の家族は定期券表示区間外でも大人100円、子ども50円とする実験が行われました(ただし定期券所有者本人は実費)。
平成18年(2006年)2月6日(月)〜3月24日(金)の間の月曜日・金曜日の14日間を対象に、月曜・金曜限定の通勤定期「ECOパス」が通常の3割引の価格で販売されました。
券種は2月用、3月用、2・3月用のいずれかで、月曜日限定、金曜日限定、月曜金曜両日限定の組み合わせで計9種類が用意されました。おそらく通常はマイカー通勤をしている方に、月曜・金曜だけでもバスを使って貰おうという考えの取り組みと思われます。
「交通実験2006」は平成18年(2006年)秋に実施されました。「交通実験2005」が同じ年の2月に実施されていたため、この平成18年(2006年)という年は1年間に交通実験が2回あったことになります。目玉は何といっても「環状道路循環バス」で、チラシにも「本格運行実現のためぜひご乗車ください」と大書されていました。
前回と同様、兼六園周辺を回遊するループバスが平成18年(2006年)9月16日(土)〜10月31日(火)までの46日間、香林坊アトリオ前発10:00〜18:00の間、月〜金20分間隔、土日祝10分間隔、運賃おとな100円で運行されました。
今回は月〜金ダイヤの運行も行われ、また土日祝は10分間隔に増強されています。コースは前回同様ですが、臨時停留所の「能楽堂前」「広坂緑地前」停留所がなくなり、既設停留所の「丸の内」が通過扱いになっています。
前回あった観光施設の入場券などを提示しての乗車も継続され、さらに「兼六園入場券」「金沢城公園入館券」での乗車も可能になっています。担当は北鉄金沢中央バス(株)に変更され、前回と同様にPetitが使用されていました。
平成18年(2006年)9月16日(土)〜10月29日(日)までの土日祝のみ16日間、竪町、柿木畠、広坂通りで一部車道幅を減らし、オープンカフェ、柿木太鼓、JAZZ等イベントが行われました。
「交通実験2006」の目玉といえたのが、この「環状道路循環バス」で、平成18年(2006年)11月1日(水)〜11月30日(木)にかけての平日のみ20日間に行われました。金沢内環状道路と中環状道路を経由する循環バスが兼六園下(モータープール)を起点として1日34便運行されたもので、従来、都心部を中心に放射方向へ運行しているバス路線と相互に連絡するための「環状バス」の必要性が検証されました。
兼六園下(モータープール内)を朝7:00始発とし、左右回りがそれぞれ同時発車。朝は30分間隔、日中は60分間隔、夕は45分間隔で運行、20:00を終バスとしていました。運賃は大人200円、子ども100円で、この手の実験系統としては初めてICaも使用することができるようになりました。また、環状バス運賃箱には「環状バス乗継割引券」が備え付けられており、乗り換えたバスに100円引きで乗車できました。
担当は北陸鉄道(株)金沢営業所東部支所、ほくてつバス(株)北部営業所、加賀白山バス(株)野々市営業所、北鉄金沢中央バス(株)で、様々な大型バスが使用されていました。
なんといっても見所は、兼六園下の乗降場所がモータープール内となっており、降車時は乗客を乗せたままモータープールの奥まで進んで転回し、臨時のりばに着けるという行程だったため、普段は立ち入ることのできないモータープールの奥を合法的に見ることができたという点が挙げられるでしょう。
このような大々的な臨時バスの運行が可能だったのは、この当時、団塊の世代にあたる乗務員さんが非常に大勢在籍しており、マンパワーが豊かだったためと思料されます。乗務員不足のいまでは考えられないことです。まさに、時代の象徴といえるでしょう。
平成18年(2006年)10月2日(月)〜10月31日(火)までの平日のみ21日間、南部車庫とバロー金沢高尾店(扇台小学校前)でのパーク&ライドに対応した特急バスが増便されました。
停車停留所は南部車庫〜扇台小学校前〜片町〜香林坊〜南町〜武蔵ヶ辻〜リファーレ前〜金沢駅前で、ダイヤは南部車庫7:32発、8:02発金沢駅ゆきと、金沢駅18:00発南部車庫ゆきとなっていました。
「特急バス」と銘打たれてはいますが、使用されていたのは普通の路線車(ふそうノンステップバス)で、広告枠にPR表示を入れて運行していました。現在は既存の急行バスの停車停留所に扇台小学校前が加わるという形で昇華されています。
「交通実験2006」での実験運行を踏まえ、この年も「環状バス運行実験」が実施されました。
なお、平成12年(2000年)から長い間続いていた「交通実験200X」というプロジェクト名は、この年が最後になっています。また、この年よりバスに関係する実験についてのチラシの問い合わせ先から「石川県都市計画課」の文字が消えました。
・ 環状バス運行実験
平成19年(2007年)11月1日(木)〜平成20年(2008年)2月29日(金)にかけての4ヶ月間、金沢駅西口7:00〜20:00まで30分間隔で月〜金のみ運行されました。「環状バス」という名称ではありますが、環状道路を利用するバスという意味合いで、運行経路は循環にはなっていません。運賃は4停留所間までは100円、5停留所以上は200円(ただし一部区間では230円)で、ICaも使用可能、また定期券も乗降可能区間に該当する場合は使用することができました。
運賃の安さと本数の多さから、実験後期には二水高校の生徒など常用する利用客も出てきたようですが、実験期間が短く、周知される頃には終了となってしまったのが悔やまれるところでした。
担当は北陸鉄道(株)金沢営業所東部支所および同南部支所、ほくてつバス(株)北部営業所、加賀白山バス(株)野々市営業所でした。
「公共交通重要路線」と位置付けられる主要12路線のうち、[51]安原線のみどり二丁目系統(通称:みどり線)を増発し、西部緑地公園、マルエー間明店でのパーク&ライドも併用して利用客の増加を狙ったものです。
平成19年(2007年)11月1日(木)〜平成20年(2008年)3月31日(月)までの月〜金に、みどり二丁目発7:53、8:30、9:30、10:51、11:32、13:00、13:28、15:00、15:28の9便、金沢駅前発10:10、10:40、12:15、14:20、14:45、16:00、18:55、20:15、23:00の9便を増発し、富本町経由の[54]番とあわせて朝は10分間隔、日中でも30分間隔となるよう設定されました。
平成19年(2007年)10月1日(月)〜14日(日)までの4日間、7:00〜17:00の時間帯に、広坂北交差点〜丸の内〜市役所前交差点間の「いもり堀道り」と「アメリカ楓通り」を西方向への一方通行としたコミュニティ道路とするもので、広坂緑地裏に臨時停留所が設置されました。
平成19年(2007年)9月3日(月)〜10月31日(水)の平日に、パーク&ライド拡大実験が行われました。実験パークは「コジマNEW金沢駅西店」「メガ・バリュー近岡店」「カジマート桜田店」「大和タクシー」「コープたまぼこ」「金沢市総合体育館第4駐車場」「額住宅駅前」「マルエー三納店」「ジャスコ松任ショッピングセンター」「北陸鉄道南部車庫」「オレンジ額新保店」「つるぎショッピングセンター・コア」の12ヶ所で、モニター利用者には粗品がプレゼントされたほか、抽選で10名にICa(2,000円分)がプレゼントされました。これらの実験パークのなかには現在は閉店してしまったお店も多いですね。
交通実験2007での「環状バス運行実験」を踏まえ、金沢市交通政策課と北陸鉄道(株)により、平成20年度(2008年度)に「運行実験環状バス」の運行が実施されました。この年より「交通実験200X」というプロジェクト名ではなくなっていますが、実験主体から県が抜けたことに何か関連があるのでしょうか……。
これ以降の実験運行系統は、狭義には「交通実験」とはいえないのかも知れませんが、一連の交通実験に類する系統として、紹介していきたいと思います。
「運行実験環状バス」は平成21年(2009年)2月2日(月)〜3月31日(火)の間の平日に行われたもので、昨年度の結果を踏まえ、利用の少ない時間帯の本数の見直し(日中は1時間半間隔に)、ルートの変更(広岡、長田一丁目経由を広岡口経由に変更、2ヶ所停車の拡大)、運賃体系の変更が行われました。
とくに大きい変更点は運賃体系の変更で、前回の100円、200円均一から一部値上げし、一般バス路線にあわせた対キロ制整理券方式の運賃制度に変更されました。これにより、金沢駅西口〜伏見橋間は340円、金沢駅西口〜平和町間は380円、新神田〜平和町間は370円など、既存の路線バスよりも高くなった区間も存在していました。
担当は加賀白山バス(株)野々市営業所の単独運行でした。本数は10.5往復と少なくなり、さらに運賃も区間によっては増額、実験期間も短いとあり、どう見ても前年よりも使いづらくなっていたのが惜しまれるところです。残念ながら、「交通実験2006」から本格運行が模索されていた環状道路の路線バス実験は、現在のところこれが最後となっています。
平成22年(2010年)12月1日〜平成23年(2011年)3月24日までの間、期間限定の交通実験便として「実験線」の運行が行われました。これは加賀白山バス(株)独自の運行実験となっていたようで、チラシの連絡先に石川県、金沢市などの名はありませんでした。
経路は野々市駅〜太平寺〜野々市消防署前〜工業大学前〜円光寺〜二水高校前〜金附自衛隊前というもので、野々市駅発金附ゆき1本、金附発野々市駅ゆき2本が運行されました。
この実験は非常に好評だったようで、翌年度の平成23年(2011年)12月1日より、冬季の通学ダイレクト便として学期休み期間を除く冬季の月〜金のみ運行の定期路線となり、野々市線の派生系統として運行が続いています。一連の実験系統では唯一、本格運行に至った路線ということになります。
平成23年(2011年)5月21日(土)〜平成23年(2011年)11月30日(水)までの期間、金沢市交通政策課と北陸鉄道(株)により、海側幹線を経由し、沿道の「いしかわ総合スポーツセンター」「金沢海みらい図書館」「アピタタウン金沢ベイ」といった施設を結ぶ路線バスの運行が実験されました。
区間は西割出〜みどり二丁目間で、実験当初は西割出発6本、みどり二丁目発6本の計6往復を1時間間隔で運行。運賃は整理券方式の対キロ制で、ICa使用可能。みどり二丁目〜西割出は330円、みどり二丁目〜海みらい図書館は210円、海みらい図書館〜西割出は210円などとなっていました。
この海側幹線バス運行実験がこれまでの実験と異なる点として、アンケート等の結果を踏まえ、実験途中でルート改良を含む実験内容の変更が行われたことが特筆されます。
実験途中の平成23年(2011年)10月1日(土)より、中央病院、映寿会みらい病院、県庁前の3停留所を経由するようにし、県庁アクセス路線、またシティライナーのフィーダー路線としての側面を併せ持つ路線へとルート変更、また3往復分を増便し、1日9往復、約45分間隔の運行へと改良が加えられました。みどり二丁目〜県庁前間の運賃は290円、西割出〜県庁前間は170円となっています。
担当は北陸鉄道(株)金沢営業所で、ふそう中型長尺ノンステ(35-648、649)が使用されていました。
なお、「海みらい図書館」バス停は現在の「金沢海みらい図書館前」停留所とは異なり、海幹沿いに設置されていました。
OLD FASHION PAGE
●交通実験2000
・ 路線バス+歩行者天国
▲ラブロ前向かいに設置された臨時バス停
・ バス専用レーンの時間延長・区間延伸
・ パーク&バスライドの実施
・ 最終バス時刻の延長
・ 買い物バス券の発行
●交通実験2001
▲緑化フェア臨時便・通称“ぷっぴーバス”
▲いもり堀ターミナル
▲城回りループバス
【シャトルバス】
大手門〜尾山町〜香林坊〜県庁前〜成巽閣前〜兼六園下〜大手門
大手門〜尾山町〜いもり堀〜白鳥路前〜大手門
▲行き先LED、音声放送ともに用意されていました
・ 買い物バス券の発行
▲5タウンズ買い物バス券
・ 最終バス時刻の延長
●交通実験2002
・ バス専用レーン実施
・ 買い物バス券の発行
・ パークアンドバスライドの実施
●交通実験2003
粟 粟
崎 崎
大 一 二 旭 向
●:臨停 野 丁 丁 ヶ 粟 ◎内灘駅前
中 目 目 丘 崎 |
央 ┌─○─○─○─○─┘
┌─○─◎大野 港 |
けやき団地● 中 ○粟崎南口
| 御 学 |
└─○大野一丁目 供 校 ○湊三丁目
| 田 口 |
桂町北●───●──┬─●──●──┘
みなと |
会館前 ○戸水西
|
|
┌←─┤
県庁前◎┘
└→┘
*ただし「桂町北」は金沢港いきいき魚市経由便の
「大野一丁目」と同じ位置に設置
▲けやき団地前に到着する23-374
菅
原 額
団 新
地 保 光
矢作4丁目●←● 一 が
↓ └←┐丁 丘
↓ ↑目 1
└○─→┴○───┐ 丁
矢 | 目
作 額新町1丁目● ┌──●──●光が丘口
北 | ●額新町住宅 \
○──┘ |
額 大額二丁目○
●:臨停 住 └──◎光が丘住宅
宅
駅
▲フィーダーバスの方向幕イメージ
・ 金沢都心部の100円運行
・ ランチタイムバス券の発行
・ パークアンドバスライドの実施
●交通実験2004
【連節バス運行ルート】
<<月〜金>>
リ 武 泉 泉
フ 蔵 香 広 一 二
ァ ヶ 南 林 片 小 野 丁 丁 有
| 辻 町 坊 町 路 町 目 目 松
金 レ ○─○─○─○─○─○─○─○─○
沢 前/| |
駅 ○ ↓ 二万堂○
前/ ○六枚町 |
金沢駅┌◎金沢駅↓ 伏見橋○
東通り○ 西口 | |
└←○←○┘ 横宮○
| 広岡口 |
広岡○ 野々市中央○
| |
西念南○ 西野々市○
| |
西念西○ 太平寺○
| |
駅西合庁前○ 稲荷◎
|
県庁前◎
<<土日祝>>
香 広
南 林 片 小
町 坊 町 路
武蔵ヶ辻○─○─○─○─○┐
/ ◎
○リファーレ前 野町駅
/
◎金沢駅前
◆稲荷→六枚町→金沢駅西口→県庁前 片道1本
◆県庁前→金沢駅西口・東口→稲荷 片道1本
◆金沢駅〜稲荷 2往復
◎土日祝ダイヤ
◆金沢駅〜野町駅 9往復
▲連節バス
▲野町駅へと下る
・ パーク&バスライドの新設・拡大
・ ランチタイムバス券の発行
・ 夕方バス専用レーンの時間延長実施
●交通実験2005
合
同
庁 丸
舎 の
前 内 石川┌─┐
┌○─○ 門口● ○兼六園下(物産館前)
| \ | |
↓ ●─┘ ●上坂口
香林坊◎ 広坂緑地前 \
(ア)| /
└○─→●─→● \
香 広 県\ ○出羽町
林 坂 立 ● \
坊 美 能\ /
(中公) 術 楽 ●
館 堂 石引駐車場前
前 前
●:臨停
▲広坂緑地臨時バス停
・ シティライナー運行ルート改善実験
・ 浅野川線内灘駅結節点強化実験
┌←─◎←┐
緑台1丁目○ 内灘駅└─┐
↓ ↑
緑台2丁目○ |
┌──←───┘ |
●アカシア台 |
└●→┐ ○旭ヶ丘
粟崎4丁目| ↑
町会会館前↓ |
└→●→┐ |
粟崎 ↓ ○粟崎2丁目
4丁目 ●粟崎町住宅 ↑
/ 集会所前 |
| ○粟崎1丁目
↓ ┌○────→┘
└→┘粟崎
3丁目
●:臨停
・ パークアンドライド新設実験
・ 通勤定期券ファミリー割引拡大実験
・ バス利用促進ECOキャンペーン
●交通実験2006
・ 兼六園ループバス運行実験
合同庁舎前 石川┌─┐
┌○── 門口● ○兼六園下(物産館前)
| \ | |
↓ ──┘ ●上坂口
香林坊◎ \
(ア)| /
└○─→●─→● \
香 広 県\ ○出羽町
林 坂 立 \ \
坊 美 \ /
(中公) 術 ●
館 石引駐車場前
前
●:臨停
▲石川門口に停車するプチラビット
・ 歩行回遊性向上実験
・ 環状道路循環バス運行実験
▲乗継券
勤 元
労 町
西 者 二 森
念 プ 金 丁 山
東 ラ 沢 /\目 一
○ ザ 駅 東警察署前○ ○ 丁
|\前 東 / \目
| ○ 通 ○浅野町 ●┐
駅西消防署前○ \り / 小学校前 ○橋場町
| ○ ○ |
駅西本町○ \/中島大橋 ○橋場町
| ┌┘ 桜
↑若宮●二口↓ |◎兼六園下 町
| └┴─○─○─○─○┐
玉鉾二丁目○ 小 横 暁 |
| 将 山 町 ○如来寺前
入江西○ 町 町 |
| ○石引2丁目
入江三丁目● /
└───○───○──○─○──○ ○笠舞三丁目
新 増 増 白 広\ /
神 泉 泉 菊 小 ○ ○猿丸神社前
田 一 町 路 寺\ |
丁 町 ○ ○菊川一丁目
目 一 寺\|
丁 町 ○寺町一丁目
●:臨停 目 二
丁
*「若宮」「二口」は同じ場所に向かい合って 目
設置されており、南方向が「二口」、北方向が
「若宮」とされていました
・ パーク&ライド特急バス運行実験
●交通実験2007
広岡○───◎金沢駅西口(3番)
|
└○┐
長田1丁目|
○元菊町
|
○大豆田
|
米丸 ○入江一丁目
学校前 |
○──○新神田
|
○東力
|
○黒田
|
○西金4丁目
|
└○─○─○─○─○─○─○─○─○─○寺町一丁目
八 押 押 伏 二 有 泉 泉 泉 \
日 野 野 見 万 松 が 野 野 ○十一屋
市 二 中 橋 堂 丘 四 一 \
出 丁 央 丁 丁 ◎平和町
町 目 目 目
広岡:平和町方向は広岡西交差点手前の臨停に停車
新神田:金沢駅方向のみ新神田交差点手前の臨停と
交差点を曲がった既設の停留所の2ヶ所に停車
八日市出町:西南部交差点の押野側の臨停
伏見橋:双方向とも交差点を越えた1ヶ所のみ停車
有松:双方向とも交差点を越えた1ヶ所のみ停車
平和町:金沢駅方向は病院構内と大通りの2ヶ所停車
・ みどり線増発実験
・ まちなか賑わい創出実験
・ パーク&ライド拡大実験
●運行実験環状バス
┌─◎金沢駅西口(3番)
|
○広岡口
|
○元菊町
|
○大豆田
|
米丸 ○入江一丁目
学校前 |
○──○新神田
|
○東力
|
○黒田
|
○西金4丁目
|
└○─○─○─○─○─○─○─○─○─○寺町一丁目
八 押 押 伏 二 有 泉 泉 泉 \
日 野 野 見 万 松 が 野 野 ○十一屋
市 二 中 橋 堂 丘 四 一 \
出 丁 央 丁 丁 ◎平和町
町 目 目 目
八日市出町:西南部交差点の押野側の臨停
伏見橋:平和町方向は2ヶ所停車
有松:双方向とも2ヶ所停車
泉野四丁目:平和町方向は2ヶ所停車
平和町:金沢駅方向は病院構内と大通りの2ヶ所停車
●実証実験・野々市横断ダイレクト便
▲本格運行後の姿です
●海側幹線バス運行実験
鞍 ◎西割出
月 |
┌──○──┘
|
大友1丁目○ :・:
| 中央病院○ ○映寿会みらい病院
鞍月5丁目● : :
┌──┴・・・・・・・・・・
| 10月から :
| ○県庁前
●アピタタウン
|金沢ベイ
| *県庁エリアでは双方向とも
| 中央病院→映寿会→県庁前の順
|
●海みらい図書館
|
|
|
●赤土町東
|
|
○──○──┐
済生会 稚日野 |
病院 ○JA二塚支店前
|
◎みどり二丁目 |
| ○二塚
└○───○──┘
みどり みどり
中央 一丁目
●:臨停
▲臨停の鞍月五丁目バス停
一連の交通実験系統や施策を振り返ると、とくに初期には荒唐無稽と感じられるものもあり、実現したものよりも、夢と消えてしまった実験のほうが明らかに多いことが分かります。ですが、実験とは本来そういうものだと思いますし、ましてや、そのなかから本格実施へ辿り付いた施策は、失敗を厭わない(いや、失敗を前提としているといっても良い)土壌からのみ掘り出される、本当に価値のあるものなのかも知れません。
また、大々的に交通実験として打ち上げることで、普段バスの存在そのものさえ気に留めないような層に、バスというものもあるのか、そういえばバスという手もあったな、と気付かせる手がかりになったとすれば、あるいは将来の利用客になる筈の子ども達に憧れを感じさせることができたならば、長い目で見れば、それだけでも貴重なものと言えたのではないかと思います。
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