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小谷村営バス探訪
長野県北部にある小谷(おたり)村の自治体バス「小谷村営バス」は、JR大糸線・南小谷駅を中心に運行しています。
平成15年(2003年)6月、松本電鉄の路線廃止とともに移管・発足し、一般路線同様のハイランドシャトルが運用される村営バスとして知られています。北陸地方にもっとも近いアルピコ交通(川中島バス)運用エリアともなっています。
*個人による趣味のページであり、運行事業者様・自治体様とは関係ありません。
最終修正:令和5年2月22日 (9R)
:: 小谷線で雨飾高原へ
秘湯・小谷温泉へと向かう、小谷村営バスを代表する路線が(1)小谷線です。村営バスといっても、車両もバス停丸板もアルピコそのもので、車内放送で「村営バス」とコールされる以外は一般路線と見分けが付きません。
小谷村営バスは基本的に夏ダイヤ(4月〜11月)と冬ダイヤ(12月〜3月)に分かれており、小谷線の場合、冬ダイヤでは小谷温泉・雨飾(あまかざり)高原まで行かず、大凪下(おおなぎした)で折り返しとなります。
道は大凪下を過ぎると急に険しくなり、ヘアピンカーブになっている世にも珍しい橋を渡り、バス一台分の隘路をそろりそろりと曲がりくねり、まさに山奥の秘湯といえる小谷温泉へと至ります。村営バス化も大型バスが使われているのが奇跡のような路線です。
ここから300mほど坂をのぼると日帰り可能な温泉施設「雨飾荘」と、「村営露天風呂」があります。
雨飾荘は入泉料500円。ボディソープ、シャンプー設置ですが、脱衣所にロッカーがありません。玄関前にコインリターン式ロッカーがありますので、貴重品は先にこちらに預けておくと良さそうです。
もともと旅館だった建物だそうで、浴場はちょっと狭め。また、露天風呂へ行くのに浴槽のなかを通りぬけないと行けないのが、ちょっと変わっている気がします。
雨飾荘より少し手前に、村営露天風呂があります。
えっこれが? と驚くほどの解放感で、ちょっと面食らうかも。ただの上屋が脱衣所としてあるだけで、あとはブナ林のなかのただの池のようですが、たしかに湯気があがり、そしてケロリンの桶が! なお、ちゃんと男女別に分かれてますので念のため。
ロッカー、石鹸などアメニティは、当然一切なし。料金はチップ制となっています。むろん必ず入れていきましょう。
熱い湯でホカホカになったあと、あふれた湯の浅い流れに寝転んでみると、樹々の梢が天を指す。大自然に抱かれての湯浴みがたのしめます。
:: 冬の小谷村営バス
小谷村営バスの本当の姿にふれるならば、やはり雪のある季節が良いのではないでしょうか。スキーのメッカともなっている豪雪地帯をゆく小谷村営バスは、迫力という言葉では片付けられないほどの凄みがあります。平成24年(12年)の冬の旅です。
そこに生活がある限り、バスは走ります。
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また、各路線の運行ダイヤは小谷村公式サイトをご参照下さい。
終点・雨飾高原に到着しました。
糸魚川からのJR大糸線の列車。雪のなかでうずくまるかのように。こんなに過酷な路線なのに、運賃体系はほかの地方交通線と同じです。ほかの地域とは比べ物にならないほどの雪害対策を強いられているうえに、乗客もごく少なく……。冬季割増運賃を取っての良いほどのようにさえ思えますが、ぼくのようなただのマニアにできるのは、せめて青春18キップのような乗車券でなく、確実に路線に収入の入るキップで乗ることくらいです。
南小谷駅前バス停は雪に埋もれかかっていました。
雪による渋滞のため、ずいぶん待って、ようやくやってきた村営バス栂池高原ゆきに乗車しました。ハイバックシートの並ぶ、松電バスらしい車両。小谷村営バスでは、この西工+高出力+ハイバックシートというトリプル役満なバスが必ず来るのも魅力です。
リアガラスの防護用鉄格子。
国道から外れて、山道へ。除雪された国道ではガリガリと走るマッサージチェアのようだった乗り心地が、雪道ではすべすべした走りになります。下りてくる車を一台一台通しながら。
雪の壁のなかをゆく。
終点に着く頃には、足回りはこうなります。運転士さんがハンマーでこそぎ落としていました。
栂池高原バス停前にある「栂の湯」であたたまったあと、バス停に戻ると、バスは吹雪のなかで特急バスとともに休んでいました。バスはどんなときでも、真顔ですね。