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小矢部川北鉄レストラン

最終修正:令和6年4月15日 (2)

    

:: 小矢部川SAにあった北鉄レストラン

 北陸自動車道「小矢部川おやべがわSAサービスエリア」の下り線(富山方向)のお店は、かつては北陸鉄道(株)開発事業部レストラン課が営業を受託し、「小矢部川北鉄レストラン」として長年親しまれていました。

 現在は(株)ホテルニューオータニ高岡による運営となっていますが、ここも以前は、北鉄ゆかりの物件だったのです。

 
 ▲小矢部川サービスエリア

 砺波平野の独特の風物詩「散居村」を眺めることもできる広大な敷地には、レストラン、無料休憩所、トイレ、売店と給油所などが連なり、駐車場は大型車21台、普通車100台分のスペースを確保。晴れた日には立山連峰を一望でき、金沢から出発するとちょうど1ヶ所目のSAということもあり、いまも多くの観光バスやドライバーで賑わっていますね。

 メインとなるレストランでは、かつてジャンボボールの中華料理店でも腕をふるった料理長による「氷見牛カレー」のほか、「メルヘンポークおろしソース定食」「越中地物語」など、富山ならではの山海の幸をふんだんに使用した料理に舌鼓を打つことができました。

 併設されているショッピングフロアでは、観光客に喜ばれるおみやげ品として、富山県の特産品「ますのすし」をメインに、「ほたるいかの塩辛」「ひもの」などの海産物や「立山の水」など、富山独特の商品が多く販売されていました。

 また24時間営業のテイクアウトコーナー(フードコート)でも「富山ブラックラーメン」「小矢部ホワイトラーメン」「小矢部メルヘンポークカレー」「白えびかき揚げ丼」など、様々な逸品が用意されていました。

 
 ▲北鉄レストラン

 この小矢部川北鉄レストランは、昭和49年(1974年)10月29日、北陸自動車道の金沢東IC〜砺波IC間26.3kmが開通し、この区間に新設されたサービスエリアの営業が日本道路施設協会から北陸鉄道(株)へ委託されたことにより、開業しています。

 同社ではサービスエリアでの営業開始に備えて業務組織の一部を改正し、事業一部に「ハイウェーサービス」という部署を新設し、サービスエリア関係業務を担当するようになったようです(晩年は開発事業部レストラン課が担当)。レストラン部門の料理長にはジャンボボール内の中華料理店「香港」のチーフを務め、その腕前から高い人気を誇っていたという名シェフが就任しています。

 石川県立図書館所蔵の北陸鉄道社内報「ほくてつ」昭和49年(1974年)11月号に掲載された「先の長い多角経営-小矢部川北鉄レストランの開業をむかえて-」という座談会によると、当時の取締役社長室長の方が、昭和48年(1973年)10月17日の小松〜丸岡間開通の際、尼御前SAの経営委託についての入札に参加したものの、入札から外れたため、それではということで関係先へ働きかけ、次に開設される小矢部川SAの経営権を射止めた――という内容の発言を行っています。

 
 ▲ショーケースで決め、レジにて先に注文をする方式でした

 昭和60年代には「テイクアウトコーナー」がファーストフードブームにマッチして大ヒット。昭和63年(1988年)7月10日には北陸道の全線開通にあわせて売店の拡張が行われ、テイクアウトコーナーでは「ソフトクリーム」「みそおでん」と、千里浜レストハウスの名物となっている「いかだんご」の3点がラインナップに加えられています。

 このような利用者サイドに立ったサービスが認められ、平成2年(1990年)10月、北陸自動車道で初めて優秀レストランの証となる「道路施設協会理事長表彰」を受賞したそうです。

 平成4年(1992年)9月1日からはテイクアウトコーナーが24時間営業となっています。

 平成6年(1994年)11月下旬までには、昭和49年(1974年)10月29日の開店以来初めての大増改築工事が行われています。これは(財)道路施設協会が全国の高速道路内のサービスエリアにおいて、老朽化した施設を近代化することに伴って実施されたようです。

 まず先行して9月頃までに完成した内装は、白を基調とした壁に、床は緑と白の模様入り。テイクアウトコーナーではファッショングリーンやうすい藤色が印象的な色彩豊かなものとなり、輝くネオンが24時間営業の同店に明るさを醸し出すものとなったそうです。 

 平成10年(1998年)4月頃には、休憩所・テイクアウトコーナーの入口に風除室が完成し、夏の害虫、冬の吹雪の吹き込みなどが防止でき、より快適に利用することができるようになったということです。

 平成12年(2000年)5月には特設売店が設置され、「おやき」「牛串焼き」「ソフトアイス」の販売を拡充。同年8月からは季節の名産品である「呉羽梨」の販売も行われたといいます。

 
 ▲北鉄オリジナルカレー

 平成19年(2007年)5月17日には、レストラン部門で人気となっている「氷見牛カレー」をレトルト化した「北鉄レストランの氷見牛カレー」が新発売。パッケージにはこのメニューを考案した料理長と美しい立山連峰、黒々と立派な氷見牛がデザインされ、陳列棚でもひときわ目を惹く商品となりました(その後、料理長が交代されたのか、デザインが変更されています)。

 続いて同じ年の10月10日には「北鉄レストランのメルヘンポークカレー」もレトルトカレーの第2弾として発売されています。「メルヘンポーク」とは地元・小矢部市養豚組合で生産された豚肉で、ヘルシーでやわらかい食感が特徴といいます。

 これらのレトルトカレーはおみやげ品として人気が高いだけでなく、「ほくてつ電車まつり」など北陸鉄道の催しにも一種の北鉄グッズとして販売されることも多く、北鉄ファンならぜひ賞味したい逸品でした。

 平成20年(2008年)12月13日には店舗の天井部が大きくリニューアルされ、天窓の設置により自然光が降りそそぐ設計となりました。

 
 ▲小矢部ホワイトラーメン

 残念ながら小矢部川北鉄レストランは平成29年(2017年)10月31日をもって閉店――。これにより、北鉄はサービスエリアの経営受託から完全に撤退したことになります。

 その後、サービスエリアは営業を休止してリニューアル工事に入り、平成30年(2018年)4月13日にまずスーベニア(お土産品)コーナーとコンビニエンスストア「ローソン」がオープンしました。ローソンの出店は北陸自動車道初ということです。旧レストラン部分を改装したもので、間取りや大きな窓など、随所に当時の雰囲気を残す魔改造店舗となっています。

 さらに7月にはフードコートが再開し、(株)ホテルニューオータニ高岡への委託により全面オープンを果たしました。


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TEA TIME

:: 有磯海SAにも

 さて、小矢部川SAとともに、富山県滑川市の「有磯海ありそうみSA」の上り線(金沢方向)についても、かつての北陸鉄道(株)開発事業部が運営に携わっていた時代がありました。

 
 ▲有磯海サービスエリア

 この有磯海店は平成10年(1998年)12月1日に開業しています。もちろん有磯海SA自体は昭和58年(1983年)12月13日に滑川IC〜朝日IC間が開通した時点から存在(下り線については昭和59年(1983年)4月27日から)しており、もとは「三東観光(株)」という事業者が経営を受託していたようですが、同社は経営上の方針により撤退。その後任として北陸鉄道(株)に白羽の矢が立ったようです。

 「有磯海北鉄レストラン」としてオープンしたあとは、平成11年(1999年)4月11日より店舗前に特設売店が設けられ、「ホタルイカの沖漬け」や「越中ばい貝」などの地元特産品や大判焼きなども販売されています。観光客から人気を集めたことでしょう。

 平成15年(2003年)3月12日にはリニューアルオープンが行われ、「ますのすし工房」と銘打ったます寿司実演販売ブースを設け、富山名物の「ますのすし」を自家製造・直売。目の前で作られるますのすしは注目の的だったことと思います。また、このときカレーコーナーも新設されている模様です。

 リニューアルは平成20年(2008年)2月23日にも実施。このときから洗練された印象を与える赤を基調とした内装が採用され、店内のイメージが一新されています。この頃の人気メニューは「白エビの天茶漬け」(980円)だったようです。

 さらに平成21年(2009年)夏から秋頃にもリニューアル。このとき従来カレーコーナーだった位置まで売店スペースが拡充され、落ち着きと重厚感を醸し出す雰囲気に。また一般道からの利用者を対象にした駐車場「ふらっとパーク」(9台駐車可能)が完成しています。このリニューアル時から、特設売店は「芭蕉亭」と命名されています。これは「おくのほそ道」の“有磯の海”の段に由来するものでしょう。

 このように平成23年(2011年)はじめ頃までは経営面で努力が重ねられていた有磯海SAでしたが、いろいろと事情があったのでしょうか、平成24年(2012年)11月30日限りで委託が解除され、北陸鉄道(株)は撤退となっています。

 その後は富山県富山市の「(株)ジェック経営コンサルタント」という会社が運営し、「レストラン&ベーカリー つるぎ」を中心に営業されています。


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TEA TIME

:: 千羽平ゴルフクラブの「メルヘン」

 小矢部川SAにもほど近い小矢部市南郊、千羽山の山すそに連なる小高い丘に位置する「千羽平せんばだいらゴルフクラブ」。

 現在は「(株)アイランドゴルフ」という会社が運営するゴルフ場ですが、平成28年(2016年)2月29日までは名鉄グループの「(株)千羽平ゴルフクラブ」が運営しており、場内には北陸鉄道(株)直営のレストラン「メルヘン」が営業していたようです。

 千羽平ゴルフクラブは昭和49年(1974年)10月4日に当時の名鉄北陸開発(株)によって「千羽平ゴルフ場」としてオープン。昭和52年(1977年)7月1日には新たな運営会社として「(株)千羽平ゴルフクラブ」が設立されています。

 平成23年(2011年)4月2日、当時の北陸鉄道(株)開発事業部の新事業として、同ゴルフクラブのクラブハウス内に「北鉄レストラン メルヘン」が開業しています。この年の3月24日から冬季限定メニューでプレ営業が開始されており、4月2日より通常メニューによるフルオープンを迎えている模様です。

 なお、北陸鉄道(株)による運営となる以前は、名鉄グループの(株)金沢スカイホテルがレストランの営業を行っていたそうです。
 (情報ご提供:シロイトさん)

 オープンを報じる社内報「ほくてつ」(石川県立図書館所蔵)の記事によると、高台からの眺めも楽しめるというホールは84席、コンペルームが3室96席となっていたそうで、レストランのカウンター横には「ますの寿し」をはじめ特産品も陳列。プレー前に注文し、プレー終了までに用意するというサービスも取り入れられていた模様です。

 メニューは氷見牛を使った「氷見牛ステーキ重」、富山湾の鮮魚を使った「きときと海鮮丼」、小矢部メルヘンポークを使った「ポークカツ定食」などで、ゴルフのあとの歓談などにも最適なレストランといえたでしょう。

 平成28年(2016年)3月1日、千羽平ゴルフクラブは「(株)アイランドゴルフ」という会社へ譲渡され、名鉄資本は撤退。レストラン「メルヘン」の運営もまた北陸鉄道(株)からサントリーグループの「(株)ダイナック」という会社に変更されることとなりました。


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